仮面ライダークウガを観ている

 

 とあるきっかけがあって、仮面ライダークウガを観ている。これを書いている時点で10話まで見たが、なかなか面白く、ふつうに見ていられる。

 

 きっかけというのはこちら。平成ウルトラマンに詳しいモノブライト*1の出口博之さんが、平成ウルトラマンには詳しくない博多華丸さんに平成ウルトラマンのすばらしさを伝えるという番組なのだが、そもそもの番組構成の適当さや、出口さんのスタジオタレントとしての能力が絶妙に低いという要因から、なかなか失礼にならないように形容するのが難しい番組になっている。日本がもし、テレビ番組への評価が厳しいタイプの暴君の治める王国だったとしたら、全員処刑されていてもおかしくない。

 

 これを見て、後学のために平成ウルトラマンをひとシリーズくらい全話通して見ておくか、という気持ちになって、契約しているサブスクサービスを調べたが、ウルトラマンを追加料金なしで見られるのはなかった。

 

 しかたがないので、仮面ライダークウガを観ることにした。けっこう面白い。まだ序盤が終わったところ、という程度の進行状況だが、とりあえずいまの時点で気づいたことをいくつか述べてみたい。

 

音楽とカメラワークがホラーのそれ

 怪人と遭遇し、本格的な戦闘に入るまえの段階で顕著なのだけど、全体的に「どこかにやばいものが潜んでいるんじゃないか、恐ろしいことが起きるのではないか?」という種類の緊張感をあおるようなカメラの動きかたをするし、そんな音楽が鳴る。いまは僕も強くなったのであまり怖くないけれど、子供のころの僕はこれを見て平気だったのだろうか?

 

良い意味で色気のない戦闘

 シンプルに物を破壊しながら、シンプルにうめき声をあげながら戦う描写が良い。相手の弱点を探ったり、ドラマと絡めたり、ガジェットに凝ったりなど、戦闘を魅力的に描くにはいろいろな方法があるけれど、これまでのところはかなり禁欲的で、戦うということのそもそもの素材の味を重視した作りになっている。これはとても成功しているのではないか。

 

場所と時間

 「PM0:32 文京区 ポレポレ」、というように、場面の切り替えに合わせて場所と時間を示すテロップが頻繁に出る。ほかにもそういうディテールが見られることもあり、これはたぶん刑事ドラマを意識したものだと思われる。こういう、極論どこであってもかまわないしいつであってもかまわない作中のTPOを、しっかりと定めてしまう作りにはちょっと好感を持っている。

 ある回では品川区に登場した怪人が多摩市→武蔵村山市と移動していって結局田舎で戦うことになるんだけど、ちょっと笑ってしまった。結局都会の割を食うことになるのは田舎なのだ。

 

死が多い

 仮面ライダーってこんなに人が死ぬんだっけ…? 警察官の犠牲が目立つが、民間人もべつに死ななくてもお話には関係ない場面でバンバン死ぬ。詳しい数字はあやふやだけど、第何話かで、怪人による死者数が230名になった、とさらっとアナウンスしている場面があって、やばすぎるだろと思った。怪人は本当にやばい。

 

戦闘員がいない

 ライダーシリーズで見かける、敵の雑魚戦闘員がいまのところまだ出てきていない。いなきゃいないでべつによく、作劇上必要というわけでもないのだろうけど、しかし大人数相手の大立ち回り、という、戦闘メインの映像作品では押さえておきたい良い光景を描けない、という演出上のデメリットはあるような気はする。

 ……と思ったけれど、クウガではべつの方法で一対多数の戦闘を描いている。怪人が出てくると、たいていクウガより先に警察官が大勢出動するのだが、その警察官たちを怪人が華麗な身のこなしで次々と殺しまくるのである。かわいそうに。

*1:という北海道出身のロックバンド