ぶいえすヴィヴィくん

 

 

 V・ファーレン長崎というJリーグに所属しているサッカークラブがある。創設は2004年。Jリーグに加盟しているなかでも若いほうのクラブではあるが、最近は着実に力をつけてきている。昨年度はJ1でプレーするというひとつの結果を残した。

 

 さて、Jリーグのクラブにはそれぞれマスコットと呼ばれる着ぐるみキャラクターがいる。ほかのクラブのサポーターからも知られるクラブの顔のような存在になっていたり、あまり存在感がなかったり、クラブによって活用度はさまざまだが、ヴィヴィくんはそのなかでもトップクラスに目立った活躍をしていると言えるだろう。「あざとい」「かわいい」を前面に押し出したキャラづけで、Jリーグマスコット総選挙2014では1位を獲得した。

 

 ヴィヴィくんの活躍のなかでも、今回はYoutube、ぶいえすヴィヴィくんに注目したい。V・ファーレン長崎に所属している選手やスタッフ、長崎にゆかりのあるかたがたや対戦相手のマスコットなどをゲストに迎えて、対決をするというシンプルな内容の動画だが、これがとても面白い。

 

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 サッカー関係者にも様々なひとがいて、こういうメディア露出もそつなくこなせる、パーソナリティ能力の高いひともいればそうでないひともいる。そんななかで、クラブのPR手段として、マスコットをかませたのは素晴らしいアイディアだと思う。かわいいマスコット、それもヴィヴィくんほどかわいいマスコットを前にして、自分の善性を発揮できない人間はそう多くない。ヴィヴィくんを中心にした和やかな空気が、どの回でも流れている。その安心感が、V・ファーレン長崎公式チャンネルを素晴らしいものにしている。

 

 個人的に好きな回をいくつか紹介したい。元コロンビア代表のビクトル・イバルボ選手と創作ダンス対決したこの回はいまのところの最新の動画だが、本当にほほえましかった。助っ人外国籍選手は、よっぽど活躍しないかぎりなかなかメディアで取り上げられたりしない、という実際的な事情もあり、だからこそこういう動画に出てくれているとチームの一員って感じが強まってとても良いですね。

 

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ぶいえすヴィヴィくん 第18回(さだまさしさん) - YouTube

 こちらはさだまさしの出演回。長崎の観光名所いくつ書けるか対決をする。基本的に対決内容は使いまわしなし、という方針らしく、コンテンツとしての意気込みの強さが感じられる。ジェンガとか金魚すくいとか、ヴィヴィくんの身体条件ではなかなかつらそうな勝負も多いが、それを言い訳にせずしっかりと戦いになっていてすごいなあと思う。

 

 やはり長崎といえばこの人物を忘れることはできないだろう。ジャパネットたかたの元社長であり、今はV・ファーレン長崎の社長をしている*1高田明さんである。メディアに出演すると、まいかいこの人はどこまでが素でどこまでが演じなのかよくわからない、ひやひや感を感じさせてくれるキュートな社長であるが、ヴィヴィくんとの共演によりそのパーソナリティはさらに光るものになっている。ぶいえすヴィヴィくんどころか、日本のサッカー史に残る名動画ではないだろうか。

*1:これを書いた時点では未発表だったが、のちに2019年限りでの退任が発表された。お疲れさまです。