質問に向いていない…

 

soudaiさん自身は他人の質問箱に質問を送ることはありますか?

 答えるより送るほうが好きです。たまにやってみているのだけど、個人的には質問に答えるのは難しく、質問を考えているときのほうが楽しく思える。

 世間話の流れとか、発表時間の終盤5分とか、インタビューの最中とか、ひとがひとに質問をしてそれに答れる時間って人生のなかにけっこうあるのですが、この質問箱みたいに、まったく文脈がないところからひとになんでも質問できる、というのはなかなかないことだと思っていて、けっこう好きなサービスです。

 

 「これまでの人生で一番がっかりしたプレゼントはなんですか?」「大嫌いな食べ物といちばん最近それを食べたときのことを教えてください」「じつは利用したことがないチェーン店ってあったりしますか?」といったふうに、聞かれるまでそんなこと考えたことなかったけれど、いざ聞かれてみたらたしかに質問の趣旨にあうような物事があって面白い、みたいな質問を考えるのが好きなのだけど、だいたいした時点で満足してしまってまともに相手の答えを聞いてないことも多いので、質問にはそんなに向いていないかもしれない。

 

なんで最近「〜わよ」とか「〜わね」っていってるんですか?

 マイブームです。

 

ユニコーンの「すばらしい日々」から発想した作品をお願いします。

 聞いてみたのですが、曲自体もとても、……なんというかなにかを触発するような雰囲気のあるとてもエモーショナルな曲で、たしかになにかあやかってつくれそうだよなあ、とずっと思っていましたが、思っているだけになっています。

 いつか思い出したときにできるといいね。

 

メダルをもらったことはありますか

 もらったメダルのことはぜんぶ覚えています。保育園時代に運動会があって、その閉会式では出席者全員にメダルとお菓子パックが配られていて、そのときにもらうメダルが幼心にとてもうれしくて、3歳、4歳、5歳と年を重ねるごとにメダルもひとつずつ増えていくのが誇らしくてたまらなかったのをおぼえている。

 

 そのあとにもらったメダルは記憶が正しければ1枚だけ。中学3年のとき、高校入試の県内模擬試験で2番の成績になったのを記念したメダルが、塾に行ったら自分の席に何の説明もなくただ置いてあった。

 僕もとくになんの感動もなく持ち帰ったのだけど母親は喜んでくれて、それから長いあいだ(10年くらい?)父親の仏壇のまえにずっと置かれるピースになった。

 

相手を褒めるときどんな言葉を使いますか?

 あまり考えてこなかったことかもしれない。けっこう使う言葉にルールはあるような気がするのですが。……なにか気づいたことがあったらまたそのときに考えてみます。


 質問はこちらからどうぞわよ。

 

短歌 23

 

キューピット 胸に大事に抱えてる初恋部署への転属願

 

 

悪名と戯れるのが好きなひとまた新曲で批判を浴びて

 

 

夢のなか耐えきれず君に触れるときマウスを握る右手のかたち

 

 

校内の秘密が集まる図書室で液体の音が止むことはない

 

 

この世には諸行無常が溢れてて祇園精舎がすこし足りない

 

 

てきとうに色んなところをぬけて神様に出会ってたのしく終わり

怪奇!YesどんぐりRPGを見て笑って

 

ーー3人、もとはピンで活動をされていましたよね。ユニットはどのようにして結成されたのでしょうか。

サツマカワRPG(以下、サ):僕らはもともと各々が、一発ギャグだったんですよ。

 

――一発ギャグ? ピン芸人ではなく?

サ:“一発ギャグ”です。人間じゃなくて。

北海道の一発ギャグ(Yes!アキト)、茨城の一発ギャグ(どんぐりたけし)、そして僕が山梨の一発ギャグ(サツマカワRPG)。
そんな3つの一発ギャグたちがM-1に出てみようと集まった結果、人間の形になった。

Buzzfeedによる2020年のインタビューより)

 

 最近、……といってもここ2年間くらいずっとなのだけども*1、怪奇!YesどんぐりRPGに夢中になっている。

 

 Yes!アキト、どんぐりたけしサツマカワRPGの3人組で、登場時にはいろいろなメディアで話題になったらしい。間違いのないプラットフォームに一流のギャガーがそろった素晴らしいユニットだ。

 ちなみに上の動画に出てくるギャグのなかで個人的に好きなのは「ダブルパチンコ」「バーーーーー!!ミヤン」「磯野くーん、出してくれーぃ」の3つで、なんどもいろいろな回で見ているが出てくるたびに笑っている。

 

 どんぐりたけしさんはちょっとすべり役というか、ネタ全体を機能させるための黒子的な役回りに徹していて、……ほかのふたりのギャグがすごい分、ちょっと地味になっているのだけど、こういう動画を見るとどんぐりたけしさんもめちゃくちゃギャグが面白い。「パワータイプのキツツキ」、好き。

 

 天才的なギャグだけではなく、生み出されたプラットフォームにも大きな価値がある。「怪奇!YesどんぐりRPG」チャンネルには、楽屋や舞台裏などでほかの芸人を交えて撮影された「プレイヤーチェンジ」動画がたくさん上がっていて、それが観ていて飽きない。

 なんでもいい、ネタがひとつあれば加わることができ、練習は必要のないシンプルさなのにもうそのプラットフォームでやっているだけで笑えてくる、といったスキのない仕様である。

 

 こちらはぺこぱとのコラボ。3人のうちだれかひとりいればコラボを積極的にお願いしに行くスタイルはかっこいい。それに、シュウペイさんのこのギャグとても好きなんですよね。

 

 Aマッソ、ギャグもネタみたいな、どこでどうなるのかわからない不思議な浮遊感があって好き。Yes!アキトさんのギャグも最高傑作ですね。

 

 ドランクドラゴン塚地登場の回は泣き回である。マスターピースといってもいい長尺のギャグをしっかり落としたあと、コラボを持ちかけてくれた後輩に向けて、そしてひょっとしたら自分自身に向けて、……いや、おなじ険しい道をゆくすべてのひとに向けた覚悟とエールなのかもしれないしみじみとしたひと言、「一発ギャグを、……続けてください」は怪奇!YesどんぐりRPGYouTubeチャンネルの歴史に刻まれる名言となるだろう。

 

*1:人生も長くなり、これくらいのタイムスパンで「最近」を使うのに違和感がなくなってきた。

シンフォギア・パズル

 

戦姫絶唱シンフォギア | アニメ動画見放題 | dアニメストア

 「戦姫絶唱シンフォギア」を最近は観ていて、いま1期を見終わって2期に入ったところである。選ばれた歌い手が、歌を歌うことによって聖遺物*1に秘められた力を開放、戦士となって未確認生命体「ノイズ」*2と戦いながら、黒幕の仕掛けた陰謀を打ち破る、というお話。

 

 科学特捜隊のような秘密の機関で正体不明の侵略者と戦ったり、巨大な学園でのスクールライフがあったり、最初は敵対しているけれど徐々に仲間になる第三の人物がいたり、戦闘は変身ヒロインチックなんだけどガジェットの造形はロボットアニメだったり、戦闘シーンでこれでもかと歌を流したり、……「一般人の親友には、自分が変身して戦っているってことを秘密にしないといけなくてつらい」や「殉職した先輩と同じ武器を使って戦う、覚悟のない無邪気な新入りが生理的に受け付けない」といった実績のある面白展開をふんだんに起用した、天丼てんやでいうところの「オールスター天丼」のようなアニメだった。

 

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 しかし度肝を抜かれたのがこの各話のあらすじである。具体的な情報がこんなにないあらすじってありますか? ネオン=ノストラードが「 天使の自動筆記 ラブリーゴーストライター 」で書いたあらすじなのかと思った。

 

 あのシーンもう一回見返したいけど何話だったっけ……、とあらすじを頼りにしようと見てこれだったらちょっとへこむし、シンフォギアカルトクイズ大会でこのあらすじで何期何話か完全に当てられる人が出てきたらすごいと思うと思う。

 

 ……というわけで、せっかくなので、今日はシンフォギア・パズルを出題しましょう。シンフォギアを知っているひとも知らないひとも、フェアな条件で楽しめるシンプルな読解・並び替えパズルなのでぜひ挑戦してみてください。

 

問題:以下の4つは、「戦姫絶唱シンフォギア」の連続した4話(6~9話)のあらすじなのですが、ばらばらに配置されています。話の流れに沿った、正しい並び順に並び替えてください。

 

A.すれ違いは、わずかに距離を縮めども、再び離れて心を苛む。同時多発のさざ波が、いつかの可能性だとしても、今はただ一言、搾り出した言葉が全て。足りなくとも全て。求めて伸ばした手からこぼれ落ちる光。それでも君は諦めない。胸の想いを届けるために。

 

B.知らず口ずさんでいたあの旋律は、果てしなく広がる戦場の地平に置いてきた。誰よりも速く、どこまでも遠くと求めるあまり手放したもの。だがそれが、暗闇を切り拓くための灯火だとすれば。優しい声はいつだってわたしを導き、背を押してくれた。もう逢えないことよりも、出逢えたことが嬉しい。

 

C.切り取られた瞬間は一葉となり、想い出と加速する。そうなる前に、そうさせないために、明日を見失った少女たちは声無き言葉で、気持ちをたしかに伝えていく。いつかの言葉が心に灯り、踏み出す一歩に力がこもる。この道に進むこと以外、答えなんてあるわけがない。

 

D.少女の咆哮は慟哭となり、錯綜する迷図に谺する。戦うことでしか変えられない現実と、戦い続けてなお、何も変わらない現実。そして誰かを傷つけるたび、君の心も傷ついていく。偽りの姿と力では、この向かい風に抗えない。全部脱ぎ捨て、本当の自分でこそ踏み込める。

 

正解:A→D→C→B

*1:スパークレンスとかイノセンスとかインテリジェントデバイスみたいなものである。

*2:オルフェノクとか幻獣とか歴史修正主義者みたいなものである。

「さまざまなアイドル研究部bot」の好きなpost

 

 周囲の状況とそこに置かれたキャラクターの行動や様態の記述、あるいはそれを接続詞でつないだ2から3の複合的な記述、……という形式でなされる二次創作がインターネット上にけっこうあって、その最小でエッジイな創作形式に見とれていた時期があった。

 

 しかし、形式上の理由から検索で効率よく閲覧できるようなものではなく、また何百回もリツイートされて回ってくるようなものでもないため、なかなか追いかけるのが難しいジャンルである。

 

 しかし例外的に、botとしてその形式の短文が集積されているアカウントがある。このbotがとても詩情にあふれていて、流れてくるたびにはっとして、とても好きだった。このアカウントのpostのなかからいくつか、好きな短文を紹介していきたい。

 

 いまひさびさに見返して思ったけれど、僕これより世界の本質を捉えてきれいな文章を知らないかもしれない。「機嫌のいいとき」「置きっぱなし」「ギター」「くれる」あらゆる要素が、ほとんど悪目立ちしないさらっとした言葉なのに、文章のなかでぴったりと役割があって、書かれていること以上のいろいろな後景が浮かび上がってくる。

 これを初めて見たあと、なんども頭のなかでイメージをくりかえしたが、飽きることは本当になかった。そのあとこの内容を膨らませるような形の二次創作ssを書いた。話の都合上、ギターを弾くのは園田海未になったので、原型はなくなってしまったが。

 

 ザ・シンプソンズと「君のためなら死ねる」を足して二で割ったようなアートワークも味わい深くて素敵ですね。

 

 「○○な△△」と「××な□□」、そんなシンプルな対立を構造として中に含むだけの64文字で読むひとを悲しい気分にさせることがどうしたらこんなにできるのだろうか。

 これに経緯とできればハッピーな終わりをつけ足したお話を読んでみたいと思うのだけど、どう考えてもいちばん面白いのはこのコンビニのシーンになると思うので、本当にやりがいがなく、ずるい。

 

 美しかったり、切なかったりするだけではなく、

 

 ダグラス・アダムズの小説のひとチャプターのようにスリリングだったり、

 

 文脈なしだからこそ成立する鋭さとセンセーションを持っていたり、

 

 フリップ芸のひとページのようなあるあるとおかしみ、

 

 なぜそうなるのかはわからないけれど、この世界ではそうなんだろうって納得してしまうような説得力、

 

 そして、キャラクターの生きる現実を細かいところまで見つめて、それを形にする愛と献身がある。

 

 とても好きなので、周囲の状況とそこに置かれたキャラクターの行動や様態の記述、あるいはそれを接続詞でつないだ2から3の複合的な記述、……という形式でなされる二次創作、をみなさんやってみてくださいね。さようなら。

スコット・ロジャーズ『「レベルアップ」のゲームデザイン』がおすすめな5タイプの人々

 

 「レベルが上がって、パワーアップする」という概念をゲームのなかにどのように組み込むのか、……たとえば、力とか体力といった数字を用意してそれを上昇させるのか、あるいは武器の換装だったり設備の拡張だったりするのか、それともそういった要素は一切なしにして、プレイヤーの成長に任せるのか、……そういった、ゲームのなかにある「レベルアップ」にまつわることが詳しく書かれている、そんな本なのかな、と思って手に取ったら、「レベルアップ」という掛け声のもと、ゲームデザイナーに求められることを、ゲームに携わる開発チームの職種紹介から重役へのゲームコンセプトのプレゼン方法まですべて解説した、網羅的なガイドブックだった、といった経験を最近した。

 

「レベルアップ」のゲームデザイン ―実戦で使えるゲーム作りのテクニック

「レベルアップ」のゲームデザイン ―実戦で使えるゲーム作りのテクニック

  • 作者:Scott Rogers
  • 発売日: 2012/08/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 もし、①「そのような経験をしたい!」と思うかたがいたら、この本をとてもおすすめします。ほかにも、②ゲームの開発に近い職場で働いているひとが、ゲームデザイナーの仕事の全体像を把握するために読んでも面白いと思うし、たんに③ゲームを遊ぶのが好きなひとが読んでも面白いと思う。

 ④ゲームデザイナーへの道のりを歩いているひとにとっては、ちょっと抽象的だけど実戦的な、たくさんのアドバイスが詰まったもっと重要な本になるのではないか。

 

ボスを悪く危険に見せるもっとも一般的な方法は、とにかく巨大にすることです。

 プレイヤーにゲームカメラの操作を許すと、大抵の場合悪いことが起こります。配置すべきでない位置にカメラを動かし始めます。そして、地形にカメラを埋める方法を見つけます。ほとんどの場合、とにかくゲームをかき乱します。

 僕は①~④のどれにも当てはまらなかったのですが、本自体の語り口が面白いので、けっこう毎日夢中になって読んでいた。特定の分野の、今後自分が使うことはないだろうハウツーを純粋な知識として消費するのが好きだし、その消費を与えてくれる本がユーモアに満ちているのならさらにうれしい。

 

 「とにかく巨大」のところとか、壊せるオブジェクトとして木箱を配置するのはまったくクリエイティブではないので、代替案をあげます、といって「樽、宝箱、花瓶、(…)商品が詰まったショッピングカート、酸素缶、スロットマシン、コピー機、トイレ」と突然たくさんの文字数を使って50個も壊せるオブジェクトの例を挙げはじめたときには壊れてしまっているのかと思った。

 ほかにも完全なジョークから、どこまで本気で言っているのかよくわからないtipsなどもあり、なかなか緊張感がある。

 

 そういった面白さやひやひや感が好きなひとにも、ひょっとしたらおすすめかもしれませんね。

農民!

 

 新しくなにか好きなものを、3日に1回くらい見つけて息継ぎができている時期と、なにを見てもなにを聞いても(理性ではよいとわかっていても)体の反応として「好き!」とは思えなくなる時期がある。

 いまは前者の時期なのでハッピーだけど、後者の時期ももちろんあり、年を取るにつれて感受性は鈍る一方という通説を信用するならば後者の時期の占める割合のほうがこれからはおおきくなっていくということを考えると、先取りしてブルーになってしまう。

 

 そういうアンビヴァレントな気分のときに聴くと申し分ないのが、最近とてもはまっているバンド、Los Campesinos!の曲である。

 ウェールズの首都、カーディフ出身のバンドで、オカモトズのようにメンバー全員が同じ姓を名乗っている。バンド名をびっくりして終わってみせたりしていることもあり、遊び心とおどけた雰囲気が伝わるグループだ。

 

 曲はポップなんだけど同時に不思議な奇妙さがあって、前面に押し出されているのは祝祭感。人生に抱えている悲しさや辛さが、ハイで明るい、偶発的な祝い事のような形をとって現れているような感覚を与える作品がジャンルを問わず好きで、個人的なそういう部分にグサッと刺さった音楽だった。

 

 この曲なども、……ちょっと英語が僕の手に負える範囲を超えていてわからない*1のだけど、タイトルとか漏れ聞こえてくる単語の感じから想像するに、けっこう切ない歌なんじゃないでしょうか。勝手に雰囲気でエモーションを想像しているのだけど、それの裏を突くようなPVと合わせて泣ける曲だった。

 

 「Avocado, Baby」はこれまで紹介した2曲よりはやや角がきりっとしている歌ですが、曲のどの部分でも引っ張ってくれる感情的なポップさと、サビの祝祭感はそのまま。

 そもそも人数が多く、いろいろな音が鳴っているのだけど、アンサンブルとして調和しているというよりは、それぞれで個性的なフレーズ・音色を惜しまず使っていって、そのカオスのなかから来る多様感、でも、かといって混沌そのものを売りにしようとしているほど混沌としているわけではない形にはなっている、……みたいなところが聞きどころなバンドだと思う。

 

 このバンドでいちばん人口に膾炙している曲がおそらくこちら。……これがストリームで流れてきたときに、立ち止まってこのバンドが好きになった。

 何段階にも盛り上がるイントロを終えて、言葉を投げつけるようなメロディ、……サビの前には憎たらしいほど効いているスローダウン部分があって、はやいリフレインの後ろから「It's you, it's me, And there's dancing」と投げつけるように歌うサビは見事で傑作としか言いようがない。

*1:なんかアートワークとか曲の表面的な感じとは裏腹にけっこう文学的なことを言っているのではないかと思うけれど、本当にまったくわからない。