ラフレシア ぬいぐるみ ほか

 

ホワイト&マッカイ

1844年創業のホワイト&マッカイ社。トリプルマチュアードという独自の製法により成功を収め、現在では英国内のトップブランドの一つで、世界各国に輸出されています。
ホワイト&マッカイ社の所有している蒸留所のモルトをベースに約41種をブレンド

ホワイト&マッカイ トリプルマチュアード 700ml

 というウィスキーがスーパーで売っていて、「これまでの人生では見たことがないな」と思ったので買った。味は、最初のひと口でまずいウィスキーの甘くてケミカルな感じがあり、「ウー(*´Д`)」と一瞬思ったが、まあなんとか持ちこたえており、ギリまずくはない、といったところに感じました。

 水を入れるとちょっとましになるが、ハイボールにしてもなかなか悪いところが消え切らない、ちょっと酒棚のお荷物感のあるボトルになってしまった。

 

 買値も悪くて、1700円くらいしたんですよね。1000円だったら素直に味変ウィスキーとして楽しめたと思う。

 

3試合

  1. 新潟vs札幌 1-1ドロー。勝てた試合だったと思うけど、とりあえず逆転負けしなかったことがいちばん大事だったと思う。この展開でレッド退場から逆転負けって、どう見ても降格するチームの立ち振る舞いですからね。1積んだと前向きに考えて生き残っていきたい。
  2. ニューカッスルvsトッテナム 4-0負け。どういうこと? 撤退とマンツーマンプレッシングをうまく使い分けて守り、鋭いカウンターを繰り出してきたニューカッスルに手も足も出なかった。まあでも、メディアでは4位を争ってることになってますが、来年出るヨーロッパ大会*1がなにかというのはこのクラブの中期計画にとって大きな違いではないと思う。ファンとしては焦れずに、「なにが?」という顔をしながらこの負けを受け入れていきたい。
  3. マジョルカvsレアル・マドリー 0-1勝利。オーレリアン! そんなに気持ちのいい展開ではなかったのはその通りなんですが、今日のいちばん大事なのは、シティ戦に向けて選手たちのコンディションをマネジメントしながら勝つこと。ミッションをしっかりこなした1戦でしたね。最後は、まあミリトンにプレーさせたかったというのも大きいと思いますが、にしても3バックになるという周到さ。ロペテギ政権以来とかじゃないか、マドリーの3バックを見るなんて。

 

ラフレシア ぬいぐるみ

 最近花を飾るようになり *2、多少経験もついてきたので、次のステップとしてラフレシアを育てられないかと思いついたのだが、調べてみるとどうも家で育てるのは難しいようである。

 

【植物コレクション】ラフレシア クッション / 雑貨通販 ヴィレッジヴァンガード公式通販サイト

 ただ調べているうちに、そういう需要の受け皿として、こんなクッションが売っているのを見かけた。当然欲しくなったのですが、購入ボタンを押す直前ですこし手が止まってしまった。

 もともとセルフネグレクト気質があるので、自分が欲しいものを自分で買うときにちょっと躊躇しちゃうんですよね。勢いで振り切れればいいんですが、そうでないときには結局買えないことのほうが多い。

 

 まあというときのプランBですよ。なんと誕生日が近い人がいたのであげることに。これでラフレシア欲も満たされ😋、プレゼントもあげることができた。誕生日というのはやはり良いイベントだな。

 まだ完全に満たされたとは言えないので誕生日が近いひとはラフレシアを贈るのでぜひ教えてください。

 

来年も観戦チャンスがありそう~24’シーズンJ3リーグ第10節~大宮アルディージャvsアスルクラロ沼津~

 

https://www.jleague.jp/standings/leaguecup/

 本当はこのカードを現地に見に行って、アスルクラロ沼津の初観戦!とする予定だったのですが、休みが取れ*1ず、しかたなくこの試合の手前の日曜にあったJ3首位決戦「大宮アルディージャvsアスルクラロ沼津」を配信で見て初観戦とすることにした。

 

 噂には聞いていましたが、沼津はかなり強い。守ってはプレッシングがうまく、基本フォーメーションは4-3-3でそこから4-4-2に形を変えて掴まえていくんですけど、大宮の3バックと人数上はかみ合ってないはずなのですが連携してうまくひとり少ない人数で追い込んでいた。

 ボール保持も非常にポジショナルだが、ボールを持つ意識は強すぎず基本的には前に出していき、攻撃はクロスや縦パスやポケット攻撃でさっくり終える。どの選手も自分の周囲に余裕がある時のプレー、ないときのプレーをしっかり理解していて受けた後の判断が早いんで妙な失いかたを比較的しないですね。見ていて気持ちのいい、組織的なチームになっている。

 

 ただ一方で、そういう優等生的な好もしいサッカーをしているクラブが、本来ここにいるべきではないクラブに能力値の暴力でつぶされるというのもこの悪魔の巣Jリーグではよく見かける光景である。

 

 まさにそんな感じのゴールを杉本健勇*2に決められてビハインドに、しかし、プレー原則通りの1点を沼津も後半にゲット。これはオウンゴールとなりましたが、しかしこのひとつの組織となってサッカーをしているチームにだれが得点を撮ったかのラベルなんてそもそもいらないんでしょうね、という感じのきれいな流れでしたね。そしてそのままスコアは動かず、天王山は痛み分けに終わった。

 

 沼津は間違いなく強い*3ですが、この強度を夏以降も続けられるのか、また対戦が一周回ってがちがちに引くなど対策をされる側になったらどうするのか、など、昇格への道のりはまだ全然クリアではない。

 そこでうまく味変要素になってほしい、という意味で齋藤学川又堅碁スカッドにいるんだと思います。今日は不発感があったが、苦しい試合のときに彼らがクオリティを見せ始めたらピッチ内でも外でも効果的だと思うし、昇格も見えてくるのではないだろうか。

 

 最初に述べた通り、僕の愛してやまない札幌とのめったいにない対決がこの目で見れないのは残念ですが、このぶんだと、来年以降にはJ2で年2回顔を合わせるようになる可能性もかなりありそうである。まあそれを心の慰めとして、水曜日はがしがし仕事をしようと思いました。

*1:ちょっと前までは職場ではモブキャラすぎて休もうとして迷惑がかかることなんて一切なかったのだが状況は変わるものだ。

*2:これ大宮は杉本健勇いるだけで昇格は堅いだろ。

*3:札幌は負けそう。

コーチェラの配信で初音ミクを見た

 

 毎年この時期になると家を出ない対外的・内面的口実としておおいに利用させてもらっているコーチェラ(北米の砂漠地帯で行われる大規模な音楽フェスティバル。パフォーマンスのほとんどすべてをYouTube配信しているというありがたい特徴がある)配信。今回もザッピングしているなかで気になった人たちがいたのであげていきたい。

 

Peso Pluma

 終わりのほうしか聞けなかったのですが、何の情報なくても感じの伝わってくる、迫力のあるルーツミュージックで良かった。なんも知らなかったので調べてみたらどっちゃ売れてる人らしくてビビった(想定していた桁ひとつ違った)。ヘッドライナー(ラナ・デル・レイ)のひとつ前の出順というのもうなずける。

 ふだん家から出ない僕にとってはなかなか見ないジャンルの音楽を見れる素敵な機会である、コーチェラ。

 

初音ミク

 噂は聞いていたけどCoachellaで初音ミクを見ると世界はグローバルですごいな…、という気分になり*1ますね。

I'm Thinking Miku, Miku~Anamanaguchiのオタク・ミュージックをご存知か?~ - タイドプールにとり残されて

 個人的には1曲目の「Miku」が好き。Anamanaguchiがつくったコンセプトソングなのですけど、あまり日本人には聞かれてないと思うのでこの際ぜひ。ほかにもTell Your Worldやワールドイズマイン、アンノウン・マザーグースなどヒットソングが目白押しでした。

 

ATEEZ

 ミリしらで玉手箱を開けるような気持ちでザッピングしたが、幕が上がると「エイティーズ」とよむk-popボーイズグループでした。ちょっとカラーとしてはオラついている感じなのかな。

ATEEZの一番の魅力はなんといっても毎度完璧すぎる世界観です。

そもそもの大元のコンセプトとして彼らは海賊🏴‍☠️です。

圧倒的な世界観をもつ次世代ボーイズグループ【ATEEZ】 | ダンススクール 東京ステップス・アーツ|

 調べてみたところそもそも海賊🏴‍☠️らしい。

 たしかに、酒場を背景にしたミュージカルみたいな楽曲を披露しており、そういうことだったのか~、となった。

 

late night drive home(Replay)

 このCoachella、日本時間だと朝~夕方の時間帯にやっていて、僕の生活リズムとは若干相性が悪い。ほかにも、この時間帯は外にいて家にいないですよという人も多いかもですね。……でも安心、配信には「Replay」があり、夕方にライブ配信が終わってそのちょっと後から同じ映像を最初から繰り返して放送してくれるのである。

 そのリプレイで見たのがこちらのバンド「late night drive home」。上にあげた人らとは違ってこちらは完全に僕がふだん聞くジャンルで、本能的な心地よさがありましたね。バンド名もエモダサくて良い。

 

配信リンク:

Coachella - YouTube

*1:その前のYOASOBIも大概だっただろうが。

Only God Was Above Us

 

Vampire Weekend(ヴァンパイア・ウィークエンド)|『Only God Was Above Us』米オルタナ・バンド最高峰!5年の沈黙を破る5作目のアルバム - TOWER RECORDS ONLINE

 

 4月上旬はVampire Weekendのこのリリース「Only God Was Above Us」でもはもちき(もはやその話でもちきりの略*1)でしたね。私もずっと聞いていました。今回はこの10曲の、音楽としての内容は置いておいて、タイトルのカッコよさについて語っていきたい。

 それぞれ調べたらエズラのインタビューとか出てきて由来とか書いてある可能性はありますが、そこまで調べると考察厨みたいになっていやなので、あくまで第一印象をベースに語っていきたい。

 

M1 Ice Cream Piano

 こ~れ~、まじでかっこいいですよね。ウォレス・スティーヴンズが*2証明した通り、「アイスクリーム」という言葉は詩的でウィットに富んだテクストのタイトルとして、非常にポテンシャルがあるんですよね。それにとり合わせる「ピアノ」も、シンプルながら非常にいい出会いになっていると思う。

 

M2 Classical

 まあ今回の10曲の中では「どこにでもありそう度」で言えば高めなのですが、アルバムの中にハイカロリーなタイトルばかり並んでいるのもあれなので、……という抑え役なのだけどふつうに「Classical」というのはかっこいいと思います。

 

M3 Capricorn

 これは「やぎ座」という意味の単語ですね。さすがに単体でかっこいいとかかっこわるいとか言えるようなものではないが、たぶん、歌詞との兼ね合いでカッコよかったりするのでしょう。かっこいい。

 

M4 Connect

 コネクトと言えばもう日本のアニメ界では名曲と決まっているので議論する必要はないでしょう。何気にここまで狙ってか狙わずか頭文字「C」が続いて*3おり、続けて聞くとなんというか神聖なリズムの気分になりますね。

 

M5 Prep-School Gangsters

 これはいかにもタイトル然としたタイトルでいいですね。違和感のある言葉の並びなので、中身が気になっちゃう!というような。見えるところに並んでいることに映えるワードである。

 

M6 The Surfer

 これも「Capricorn」と同じで単体でどうこう言うようなことはないのであるが、でもアルバムの中間に意味深に「the」つきで座っているシンプルな単語というものはつねに魅力的なものです。

 

M7 Gen-X Cops

 こちらはまた吸引力のある、タイトル然とした言葉の並びである。でもどっちのワードも、こういう系のタイトルにするにしてはやや手あかがついているものなので、……まあ、いや、悪口を言う立場にはないので、きっと曲の内容と非常にマッチしていてかっこいいのでしょう。最高である。

 ちなみに曲としては一番これが好き*4

 

M8 Mary Boone

 これは初見では「人名?」という程度で無知だったのですが、ググってみるとアメリカの有名な美術商の名前らしいです。いかにも、Vampire Weekend感のあるタイトルワークでいいですね。

 

M9 Pravda

 こんなアルバムの終盤にきて、「プラヴダ」!? 嘘だろとてもダサいと思ってしまったのだが、Vampire Weekendのひさびさのアルバムの、こんな大事な位置の曲なのだから、なにか考えがあってのことなのだろう。それを計算に入れると素直にかっこいいです。

 

M10 Hope

 これも「Hope」なんて曲を最後に置いちゃっても全然格好がつくクラスのバンドであることをよくわかっている一撃ですよね。21歳くらいの駆け出しバンドの1枚目がこの終わりになることは、周りの大人は一度止めるものな。

 

まとめ

 というわけで「Only God Was Above Us」の曲のタイトルだけを見ていきました。みなさんが好きなのはどの曲のタイトルですか?

*1:いま僕が考えたわけではなく元ネタがあります。

*2:米澤穂信もちょっとしたかもしれない。

*3:Creamも含めれば4連続。

*4:ただファーストインプレッションではこれ!となりやすい曲なきもするのであとあとは変わりそう。

席替えで君は死者の隣に


 夏休みに死んだ叶人と席替えで隣の席になった翌日の夜から、僕は叶人のいる夢を見るようになった。最初は恐ろしかった。海の底に消えていったはずの叶人が、「おはよう」となんでもなかったように挨拶してくるんだから。しかも僕は叶人とは友達じゃなかった。

 夏休みが明けた最初の日、窓を真っ黒なフィルムで覆い、クラスみんなで電気を消してろうそくをつけて叶人へのお別れ会をやったところまではまだみんな道を外してはいなかった。その次の日に、先生が「いなくなったお友達も含めて、いっしょに席替えをしましょう」だなんて言ったのが間違いで、そのとき僕は泣いたり暴れたりしてどうにかしてでもこの悪い流れを断ち切るべきだったんだと思う。けど僕はもう小学校4年生で泣いたり暴れたりするような年ではなかった。男子も女子も何名かが泣いて拍手をしてその案に賛成をした。気味の悪さは悪いくじを引いた誰かに押し付けるつもりだったんだ。僕は心の中で強く反対したけれどおなじ気持ちだった人はほかにも何名かいたんじゃないかと思う。植物委員の立花壮図、お楽しみ係の梓川嘉納あたりはそうだったんじゃないだろうか。ふたりとも、授業中にはおしゃべりをしているし、真面目にしているときよりふざけている時間のほうが多いけど、物事の良しあしを見極める目はほかの人とは違ってしっかり持っていると思う。とくに嘉納は自分の計画したお楽しみ会が叶人へのあんなお別れ会で中止になってしまって、やるせなさと憤りでいっぱいだったんじゃないだろうか。真っ暗な部屋で先生が「ありがとうのうた」を唱えている間隣のクラスからは笑い声とお菓子を分け合う音が聞こえてきていた。先生は人聞きの悪い宗教にハマっているというのは親も生徒もみんなが言っていることだった。「1年間我慢すれば済むことじゃない」と親は言った。みんながそんな感じだから、先生は学校を辞めさせられることもなく、来年もまたあたらしい4年生のうちの不運な5分の1クラスを担当することになるのだろう。

 死人には、そして夢のなかであれば何を言ってもいいだろうと思った。死は「なくなる」ことで、夢のなかっていうのはつまりは現実ではないということだ。お前が死んでから、クラスはめちゃくちゃだよ。叶人はよくわかっていない様子で首を傾けて、「そんなことよりさ。チェスしね?」と言った。1学期の間はクラスに持ち込んでもOKだった将棋が流行っていて、2学期はチェスだった。……いや、チェスにしようと叶人が決めたのだ。クラスの中で何が流行りの遊びなのか、決めて実行するのはいつも叶人だった。「将棋なんてよく考えてみればダサいぜ、漢字が書かれているんだから。チェスはかっこいいぜ。白と黒なんだから」叶人が言うことは僕らのクラスに響き渡り、最初の一瞬だけうさん臭く聞こえたが、すぐにあまねく受け入れられる真実になった。叶人に言われるまで、僕らはこんな簡単なことに気づいていなかったってことにさせられるのだ。

 僕は覚えたてのルールでポーンをふたつ前に動かし、叶人も反対側のおなじ場所の駒をそうした。駒の色の白と黒だけが違っていた。キングを取れば叶人の命も取ったことになって、こんなバカげた夢は終わるんじゃないかと思った。けど、そんなことはなく、叶人は自分の形勢が悪くなり、もはや僕相手に挽回不能になるといさぎよく頭を下げて投了してしまうのだ。白のナイトは、クイーンは、いつもすんでのところで黒いキングにとどめの刃を突き立てる機会を奪われる。あるいは、黒のルークやビショップが白のキングを獲り逃す。2回ほど対局をしたら、ちょうど45分が経ってお昼休みが終わる。夢はいつも、学校の門をくぐった瞬間から始まり、下校のチャイムが鳴った瞬間に終わる。僕は朝7時に起きて現実の学校に丸一日通ったあと、夢でもおなじ一日を過ごすのだ。違いは叶人がいるかいないかだけで、時間割も授業の進みかたも日直順もたまたま休みのクラスメイトも、なにもかもが現実と同じ夢だった。これがどれほど疲れることか、わかってくれない人はいないんじゃないかと思う。ふつうの人の二倍の一日を生きているのと同じだ。けどそのかわり、授業の理解度は良くなった。一日に二回も同じ授業を受けるのだから。僕は頭も悪いほうじゃなかった。授業なんて1回聞けばだいたいのことは理解できた。それを表と裏のように立て続けに2回繰り返すのだ。もともと上のほうだった成績は、叶人が死んでからはさらに上がって、ほとんどのテストで100点を取るようになり、うちの両親は喜んだ。

 「はあ、本当にお前意味わかんないって。頭良すぎな? なに言ってるかわかんねえよ」お前はもう死んでるんだから、僕の夢に出てくるなよとどれだけ伝えても、叶人はその事実を認めようとしなかった。あまりにも認めないので、叶人は自分が死んだことをわかっていないか、信じ切れていないのではないかと思った。なので僕は叶人の死んだときの話をすることにした。お前はやんちゃで、クラスでは人望があって、自分にできないことは何もない、つねにみんなの注目を集めるようなことをするのが自分の使命だって思い込んでいるやつだ。だから、夏休みに海岸で古びたカヌーを見つけて、それに乗り込んで漕いでみるなんてことをしたんだ。まわりには男子女子含めて6人ほどいて(もちろん僕はそこにはいない)、その全員がお前がいくら大丈夫だって言ってもそのカヌーに相乗りするような馬鹿な真似はしなかった。最初はお前はカヌーをうまく操縦していた。岸から遠く離れて、岸に残った友達におーいと笑いながら声をかけた。お前は注目を集めた。きっと岸に残った6人が馬鹿で臆病に見えただろう。取り巻いているだけが頼みの、価値の低い人間だと心のどこかで思ったんだろう。ちがうんだよ。そもそもそこにいっしょにいなかったほかの29名のクラスメイトほどじゃないけど、あの6人は賢明で、馬鹿はお前なんだ。カヌーは離岸流につかまった。お前も岸の6人も最初はふざけて笑いながら驚いていたけれど、しばらくしておたがいが点で見えるだけの大きさになって、岸の6名は救助を呼び、お前は手に豆を作りながら流れに逆らって懸命にオールを漕いだ。あるいは泣いれあきらめて流されるまま漕がなかった。そのうち、船底の割れ目(それがあるからカヌーはあんな場所に放置されていたんだ)からしみだしていた水がどんどん大きくなっていって、海上保安庁も捜索したけどお前はその前に息ができなくなって死んだんだ。

 「そういう夢なら見たことあるよ。あれはマジでビビったね。あれね、起きたときにもマジで数秒間息ができなかった。お前もある?」叶人があまりにも自分の死を認めないので、おかしいのは僕じゃないかと思うようにもなってきていた。昼の学校で、額に収まった写真だけが置かれた隣の席を横目で見ながら、すこし広くスペースを使って教科書を広げ、本当に死んでいるのは僕なのではないかと考える。ありえないことではなさそうだった。そして夜にも同じ授業を叶人と並んで受ける。一度聞いたことなので、先生の話は全部聞かなくても大丈夫だ。手が空いた頭で、僕は考える。こちらのほうが現実である可能性もあるんじゃないかと。そしてこうも考える。こっちが現実だとして、なにか不都合があるのかと。あちらの世界には、……単純計算でひとり、死んでいる小学生がいて、その死を悲しむ親類や友達がいて、その死によって秩序が乱れてみんなで道を外れてしまったクラスがある。僕だって最後のグループに属するひとりだ。叶人が死んでから毎日見る夢のおかげで、現実や死、夢や幸せなどについての感覚がおかしくなってしまっている。どちらがどちらかたまに見分けられなくなる。毎日、二重の生活のはざまで漂って疲れている。

 そして一ヶ月が経とうとしていた。一か月は僕たちのクラスにとって、叶人が死ぬ前からとても重要な区切りだった。月の頭の日の朝最初の空き時間を使って、席替えをするのだ。僕は忙しい日々をこなしながら、あるとき次の月が近づいていることにふいに気づき、ほっとしたのを覚えている。そしていま次の月はほぼ目前だった。隣の席を見やると、ビーズの花で額装された叶人が笑顔で僕を見返してきた。今にもルークに手を伸ばして僕の陣地へ、あるいは陣地などはなく空中に浮いたキングに最後の、望みのない攻撃をかけてきそうな笑顔だった。もう一手僕に渡せば叶人の王様が詰むことを知ってか知らずかして、それでも攻めてくるのだ。そこまでイメージしたあと、僕は白昼夢を断ち切った。どうせ今夜みる夢なのだから現実の世界でまで思い煩うことはない。しかし、今夜夢のなかで叶人のいる学校に行って、実際に休み時間に盤を挟んで向かい合い、叶人が最後の攻めに手を伸ばして来たらどうするだろう?と僕は思った。先生はおかしくなったままだった。学校もまだ歪んでいた。うちのクラスだけは、ほかの4つのクラスと違っていて、現実には戻れないままだった。僕は夢のなかでも現実のことを考えていた。現実の時間帯に、もし夢のなかで僕が叶人と一線を越えてしまえばどうなるだろうと考えていたことを、夢のなかで思い出していた。チャイムが鳴った。

 「俺は勉強してきたんだよ」叶人は図書室色のバーコードが印字されたポケットサイズの本をカバンの中から取り出した。そこにはチェスの基本的な考え方と、勝利の方法が記されているようだった。しかし僕は覚えていた。現実の世界で、同じく将棋の本を借りてきた叶人が、ほとんどその内容を理解しておらず、友人たちが彼に勝つのはその後も変わらず容易だったことを。しかし、ここは現実ではなかった。「いいぜ。かかって来いよ」僕はそう答えて、叶人の一手目を待った。叶人の一手目は今まで見たことのない列の駒を進めるものだった。僕は長いあいだ考えた。休み時間が終わり、次の休み時間が来るまで考えていた。先生は呪文のような言葉をうなっていた。教室は静かで、クラスメイトは先生や叶人の言うことを受け入れていた。席替えで僕は、死者の隣に来てしまっていた。

 次の休み時間が来るまでに、僕は最後までを考え終わっていた。僕は叶人の駒に自分のキングを触れさせることを選ばず、代わりに最短距離で、叶人の息の根を止めに行った。次の休み時間で大勢は決し、僕は手元にあふれさせたもとは叶人のものだった駒のいくつかを、床に転がしてしまいおそらくひとつ失くしてしまった。叶人はそれを気にも留めなかったか気づきもしなかった。その次の休み時間――昼休みに最後の粘りをはねのけて叶人のキングを取ったあとも、チャイムが鳴るまでの時間はたっぷり余っていた。叶人はもう一回試合をすることを選ばなかった。そのかわりつまらない顔で、「いっしょにトイレに行こうぜ」と誘った。

 目が覚めて支度をして、疲れた体を押して学校へ行くと、先生が朝すぐに席替えを提案した。その時はまだ生徒も半分脅しかいない朝早くだった。しかし、叶人のぶんもあわせたクラス全員分のくじが用意される頃には、この儀式につきあうクラスメイトは、全員教室に顔をそろえていた。先生が声をかけた順にみんなは教壇に上がり、折りたたまれた紙を浅い段ボールの受け箱から拾った。僕もそれにならって拾った。くじには数字が書かれていて、教室の席と一対一対応していた。

 ひとまず僕は今回は叶人の隣に座ることはないだろう。叶人と友達だった夢を見ることも二度と。なぜかそんな確信があった。しかし、では今度は誰が叶人の隣になってしまうのか?

 植物委員の立花壮図、お楽しみ係の梓川嘉納あたりであってほしいなと僕は思った。あのふたりなら、うまくやれるだろうから。それから、クラスメイトの顔を一通り見渡した。もし、その二人以外の誰かだったら、先生は、このクラスの皆は、そして僕は。先生が合図をし、みんなは引き出しの中身と自分の荷物をもって新しい席へ動き出した。途中でチャイムが鳴り、僕たちの動きは、とても早まっていった。

サッカーってうまくなると一周回ってこうなるんだ~23-24シーズンUEFAチャンピオンズリーグ ラウンド8 1stLeg レアル・マドリーvsマンチェスター・シティ~

 

 ディレイで見る予定だったのですが*1は、深夜目が覚めて、ふと時計を見たら4時2分。これは日和ってられねーよな!😤ということでTVを立ち上げたときがちょうど、ベルナルドのフリーキックがゴールに収まっていくところでした。

 

 そのあとも、なんとかボールを保持してシティ向きの流れを止めたい時間帯に、取ってもらえないファールというのが立て続けにあり、これは厳しい試合か…😖と思いかけたのですが、――そのあとの10分! 4時に目を覚ましたことが報われるまでそんなに長い時間待つ必要はありませんでしたね。

 

 その後も前半の間はスコアこそ動かなかったものの、シティの攻撃をわりと封じて時間を進めることができたのだが、後半になるとシティの修正なのか、ガードの上から殴られ続けたことによる疲弊なのか、また渋い展開に。最終的にはボックスの外でフリーを作ってしまい、そこからゴラッソをふたつ決められてしまう。

 

【R・マドリード vs マンチェスター・C】UEFAチャンピオンズリーグ 2023-24 準々決勝 1st leg/1分ハイライト【WOWOW

 しかしそこからも果敢だったのが今日のマドリーとアンチェロッティである。ビハインドになった瞬間交代カードを切って、180分の試合ではなく、とにかくこの90分を獲りに行くのだという姿勢を明確にした。(少なくとも失点の前までは)守備に非常に効いていたクロースを下げてその位置にモドリッチという采配だったので、なかなかリスクのある決断だったと思うけど、結果的にはそれで流れを一部引き戻すことができた、最良の判断だったのではないでしょうか。

 最終的にはバルベルデが絶句級のスーパーボレーを沈めて3-3で折り返すことに。

 

 「受け一辺倒ではなく五分でやれたが、とはいえホームで五分だと物足りない」「カードトラブルも最小限に抑えたが、とはいえチュアメニは出場停止となってしまった」「ロドリゴ左は成功したが、とはいえヴィニシウスやベリンガムはフラストレーションのたまる結果に」

 戦果としては上記のように、悲観するほどではないがかといって楽観する要素もない、ということになりそうでしょうか。

 

 xG流れてきたの見たけどひさびさにこんなに気持ち悪い数字の眺めを見た。サッカーってうまくなると一周回ってこうなるんだ。

*1:2ndLegの日には休みをとってある。

たこ焼き ほか

 

たこ焼き

 高校時代の友達からたこ焼きの画像がLINEで送られてきて、ああ、いまアイツは沖縄でたこ焼きを食べているんだなあ…と思いをはせる、……という内容の夢を見た。その後その話をその友人にLINEしたところ、「仕方ないな…」と言われてたこ焼きの画像を送ってもらうことができた。

 

 というわけでたこ焼きの存在感が高まっていたところで、ちょうどたこ焼きくらいでいいかという小腹の空き具合の日があったため、たこ焼きを食べてきた。沼津の駅前商店街にある、小さいながら存在感のあるお店で、いつかは行ってみたいと思っていたのである。

 

 たこ焼きは薬味がたっぷり乗っているとろとろのもの。お酒のアテとしての性能も高く非常に堪能したのですが、やっぱ一人でしっぽり飲むにはロットが大きいよな~という気持ちもある。なんでもいい日というよりは、たこ焼きを食べたい日にまた行きたいですね。

 

『英国紅茶論争』

『英国紅茶論争』(滝口 明子):講談社選書メチエ|講談社BOOK倶楽部

 というBOOKを読みました。中国からやってきた謎の飲み物「茶」がイングランドで定着、覇権を握る前には、やれ「こんなものは体に悪い」だの「いやむしろいい。100杯飲んだほうがいい」だのさまざまな論争が論客たちの間で交わされていたらしい*1

 その当時の文献をたどりながら、お茶が最初のころどんなふうに言われていたのか、それに加えて茶器だったりティータイムだったり、お茶の性質を調べる科学的実験も行われていたよ👩‍🔬だったりといった、英国のお茶にまつわるさまざまなトピックを並べた本である。あまり学術的な体裁ではなくある程度自由に書かれたエッセイといった感じ。

 

 お茶もイングランドも好きなので、楽しく読みました。

 

サッカー情報チャンネル 「コウタ / Kota」

【一挙紹介】UCL準々決勝直前!8強それぞれ不安あり?見どころ徹底解説【チャンピオンズリーグ

 というサッカーYouTuberを最近よく見ている。台本・顔出し・生声*2のスタイルで、欧州サッカーのトピックを、現地メディアの報道やスタッツなどを参照して客観的にまとめている動画を投稿している。

 

 いい意味で「YouTuberとしての個性」を重視しないスタイル*3で、トークとかではなく、しっかり情報をキュレーションされた状態で聞かせてくれるのは、忙しいビジネスマン(応援クラブの試合を見るので基本的には可処分時間がいっぱいいっぱい)である僕やみなさんにとっては非常にありがたいですよね。

 

【戻ってこないか?】チェルシーが逃したユース出身選手TOP5【再獲得しろ】

 単にニュースを追いかけるだけではなく、たまにある切り口のある情報も面白い。ある程度インしている雰囲気はあるものの、まだ回収フェーズには入っていないので早く報われてほしい🙏。非常に良いコンテンツを作っているので、それに値するアテンションは受け取るべきでしょう。

 

*1:現代のなんやかやと同じですね。

*2:声もしっかり作りこまれており非常に聞きやすい。

*3:例えば本人の推しクラブとかもあるのだろうが、基本的には言及せず、フラットな視点で情報を取り上げたり、語ったりしている。